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酒を愛した歌人・大伴旅人

今日7月25日は、奈良時代初期の貴族で歌人の大伴旅人(おおともの たびと)が、731年に亡くなった日です。

676年に生まれた旅人が、成人するまでのことはよくわかっていません。大伴氏は、武門で名高い家系だったようで、旅人は714年に、父の安麻呂が亡くなると中納言に任じられ、720年には、南九州の「隼人(はやと)」が、生活の困窮から反乱をおこしたとき、征隼人持節大将軍として、反乱を鎮圧したといわれています。その後、京にもどり、朝廷の重要な地位について働きました。

旅人が、50歳をすぎた727年ころ、九州全体を監督する大宰府の長官として赴任したとき、部下でもあった山上憶良とともに筑紫歌壇で活躍、『万葉集』に収められている78首の大部分を、この地で詠みました。特に有名なのは、次の様な酒を讃える歌です。

験(しるし)なき物を思はずは一坏(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあるらし [くよくよと、もの思いにふけるより、一杯の濁り酒を飲む方がよいらしい]

古(いにしへ)の七の賢しき人たちも欲りせし物は酒にしあるらし [昔の竹林の七賢も、欲しがったものは酒であったそうな]

賢(さか)しみて物言ふよりは酒飲みて酔ひ泣きするしまさりたるらし [かしこぶって物をいうより、酒を飲んで酔い泣きするようがましのようである]

他10首、計13首があり、酒をこよなく愛した人物として有名です。

なお、旅人の作品は、オンライン短歌図書館というべき「千人万首」で、56首を解説付きで読むことができます。


「7月25日にあった主なできごと」

1814年 蒸気機関車の発明…イギリスの技術者スチーブンソンは1814年、第1号の蒸気機関車ブリュッヘル号の試運転を成功させました。その後改良を重ね、1830年にリバプールとマンチェスター間にロケット号を走らせ、実用化の夢を実現しました。

1894年 日清戦争勃発…以前から朝鮮を属国とみなす清(中国)と、清から朝鮮を奪おうとする日本との間で対立が深まっていましたが、日本軍が豊島(ほうとう)沖で、清艦隊を攻撃して、日清戦争がはじまりました。

投稿日:2011年07月25日(月) 07:29

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)