今日11月1日は、地球上の大陸は一つの大きな大陸が分裂・移動して生まれたという「大陸移動説」を発表したドイツの地理物理学者ウェゲナーが、1880年に生まれた日です。
ベルリンに生まれたアルフレッド・ウェゲナーは、ベルリン大学、ハイデルベルク大学で天文学、気象学を学び、リンデンブルク航空気象台に勤務後、ハンブルクのドイツ海洋気象台を経て、ハンブルク大学とグラーツ大学の教授になりました。
ウェゲナーは、気象学を専門とし、気球を使った高層気象観測などの先駆者で、自ら気球に乗って当時の最長滞空の世界最高記録52時間を実現するほどでした。また、グリーンランドの専門家でもあり、1906〜08年、1912〜17年と探検していました。
そんな体験を重ねるうち、ウェゲナーは南大西洋をはさんで、南アメリカとアフリカの海岸線が似ていることに注目するようになりました。そして、世界各地の経度を比較してみたところ、グリーンランドとヨーロッパが1世紀の間に1.6m、パリとワシントンは1年で4.5mずつ離れているのに気づきました。これが大陸移動説のアイディアにつながり、1912年にフランクフルトで開かれたドイツ地質学会で初めて大陸移動説を発表しました。
さらに、1915年に『大陸と海洋の起源』を著し、むかしは大陸がひと続きになっていて、これが数百万年のあいだに分裂し、大西洋をはさむ四大陸が少しずつ移動を開始しながら大西洋ができたと主張しました。
しかし、当時の地質学が、化石の研究や同一地点の地層の重なりを調べるやり方が主流になっていたのと、大陸を移動させる原動力としてどんな力が考えられるかなど多くの疑問が残り、ウェゲナーの主張はほとんど否定されてしまいました。その後ウェゲナーは、1929年にグリーンランド探検にでかけ、1930年4回目の探検途中に遭難して亡くなってしまいました。
ところが「大陸移動説」は、1950年代の磁力計の進歩によって再度注目されるようになり、60年代以降、磁気学の研究やマントル熱対流論といった地球物理学の進展に伴って、いちやく評価されるようになりました。今や「大陸移動説」は定説となっています。
「11月1日にあった主なできごと」
643年 蘇我入鹿 山背大兄王を襲う…蘇我入鹿は、聖徳太子の子山背大兄王(やましろのおうえのおう)を襲って自害に追い込み、強大な権力をにぎりました。
1847年 中江兆民誕生…フランス革命の精神的導きをしたことで名高い ルソー らに学び、自由民権思想を広めた明治期の思想家 中江兆民 が生まれました。
1974年 アメダス運用開始…全国約1300か所に無人自動観測所をおいて雨量を観測するシステム(アメダス)の運用を開始しました。これにより、集中豪雨などの異常気象の監視や、気象予報技術が向上しました。