今日4月2日は、『居酒屋』『ナナ』『ジェルミナール』など、しいたげられた人々を守る考えを織りこんだ小説を遺し、フランス自然主義文学の最高峰と称されるゾラが、1840年に生まれた日です。
エミール・ゾラは、イタリア人土木技術の父とフランス人の母との1人息子として、1840年にパリに生まれました。少年時代を南フランスのエクス・プロバンスで過ごし、画家 セザンヌ とも交友しました。
18歳でパリにもどって大学受験するも失敗、出版社に勤めながら作家を志しました。1867年に発表した『テレーズ・ラカン』が話題となって小説家としての足場を固め、『居酒屋』で社会現象を起こすほどの大成功を収めました。ゾラのめざしていたのは、美しいと思うものを作品に書きつづる従来の作家に対し、人間のありのままの姿を描きながら、人生に新たな真実を見出そうとする自然主義文学でした。
晩年は、理想主義的、人道主義的傾向を強め、1894年におこった「ドレフィス事件」でのドレフィス擁護が注目されます。ドイツ大使館で発見された軍事上の情報の筆跡が、ドレフィスの筆跡と酷似していると軍法会議にかけられ、売国の嫌疑にかけられて終身禁固刑に処せられたのに対し、ゾラはドレフィスの無罪を信じ、敢然と擁護したことは、特筆されます。
「青年諸君、諸君が現在楽しんでいる自由を手に入れるために、諸君の親たちが耐え忍んだ苦悩と、厳しい闘いを忘れるな」と訴え、ゾラは勝ち、ドレフィスを無罪にしたのです。
しかし1902年9月、パリの自宅で一酸化炭素中毒のため死去しました。反対派から暗殺されたという説もあります。
「4月2日にあった主なできごと」
1805年 アンデルセンの誕生…「童話の王様」といわれる アンデルセン が、デンマークのオーデンセに生まれました。2008年4月2日のブログ を参照ください。
1956年 高村光太郎死去…彫刻家、画家、評論家であり、詩集『智恵子抄』を著した 高村光太郎 が亡くなりました。
2008年 石井桃子死去…創作童話「ノンちゃん雲に乗る」や「ピーターラビット」(ビアトリクス・ポター)「クマのプーさん」(ミルン)「うさこちゃん」(ブルーナ)シリーズなどの翻訳で、戦後のわが国児童文学界をリードしてきた作家・編集者の石井桃子が、この日101歳で死去しました。