今日2月16日は、鎌倉時代中期の僧侶で、法華経に基づく教えこそが唯一の仏教の真髄と説く日蓮宗(法華宗)を開いた日蓮(にちれん) が、1222年に生まれた日です。
鎌倉時代には、新しい仏教の宗派がいくつか誕生しました。その一つは、西方浄土に救いを求める浄土信仰の流れをくむ法然の「浄土宗」で、『南無阿弥陀仏』と念仏を一生懸命となえれば、人間はだれでも、来世で極楽浄土に生まれかわることができるというものでした。さらにその弟子の親鸞は、念仏を唱える必要もなく、阿弥陀仏は、自分にすがる者はすべて極楽浄土へ往生させると説く「浄土真宗」を開きました。
もうひとつの仏教は禅宗の流れで、栄西が「臨済宗」を、道元が「曹洞宗」を開きました。シャカが座禅を組むことで仏教を開いたことを重視し、座禅を組んで自らの力で悟りを開くことを勧めるものです。禅宗は、武士の気風にも適った宗派だったために、幕府の保護を受けて大いに栄え発達しました。
日蓮宗は、2つの流れのどちらも否定し、仏教のお経の中で、法華経だけが唯一正しいものとする排他的なものでした。
1253年4月のある早朝のこと、比叡山や高野山で修行を積んだ32歳の日蓮は、房総半島にある清澄山で日が昇るのを待っていました。そして海の向こうにご来光がさして来たとき、『南無妙法蓮華経』と大声で唱えました。そして、何人かにむかって、仏の教えの真髄は法華経にしかない。この題目を唱えることのみで、人や国は救われると説きました。そして「念仏無間(むげん)、禅天魔」(念仏など唱えていると無間地獄に落ちる、禅など悪の魔王だ)といって、浄土宗や禅宗を徹底的に非難したのでした……。
なお、日蓮の詳しい生涯につきましては、いずみ書房のホームページで公開しているオンラインブック「せかい伝記図書館」第22巻「日蓮」をぜひご覧ください。
「2月16日にあった主なできごと」
1190年 西行死去…平安時代の末期の僧侶で歌人の 西行 が亡くなりました。西行は、旅のなかにある人間として、また歌と仏道という二つの道を歩んだ人間として、宗祇や 芭蕉 らたくさんの人に影響を与えました。
1883年 天気図…東京中央気象台が、全国11か所の測候所の観測記録を電報で取りよせ、この日わが国で初めて天気図を作成。3月1日からは毎日印刷して発行されるようになりました。
1922年 大隈重信死去…明治時代に参議・外相・首相などを歴任した政治家で、東京専門学校(のちの早稲田大学)を創設させた 大隈重信 が亡くなりました。
1959年 カストロ首相誕生…事実上アメリカの傀儡(かいらい)政権だったキューバのバチスタ政権を、農民の支持を得て、武力で倒したカストロが、ラテンアメリカ最初の社会主義国を作りあげ、この日首相に就任しました。