今日1月26日は、7世紀末に建立され世界最古の木造建築として国宝に指定されている法隆寺の金堂が1949年の火災で、壁画12面が焼失した悲しみの日です。
この法隆寺金堂の壁画は、8世紀はじめに金堂が再建されたときに描かれ、インドのガンダーラ美術やアジャンタ壁画によく似た鉄線描とよばれる描法が用いられた、芸術的な価値の高いものでした。
そのため、日本の文化財の調査や保護が開始された明治初期から、かなり劣化が進んでいる壁画をどのようにすれば後世に伝えていけるかが検討され、1940年頃からは当時の一流画家を動員して壁画の模写事業が開始されました。この模写事業は太平洋戦争後も続けらていましたが、この火災原因が、模写をしていた人の電気座布団の漏電といわれ、何とも皮肉な結果となりました。
かけつけた消防の迅速な対応のおかげで、建物の全焼はまぬがれましたが、壁画は火にあぶられた上、水をかけられたり、消化の際に穴があけられたり、完膚なきまでに痛めつけられて、その芸術的な価値は永遠に失われてしまいました。
でも、1935年に撮影されたという京都の業者によるカラー写真がしっかり残されており、興味のある方はネットで公開されている「法隆寺金堂壁画ギャラリー」にアクセスしてみてください。
なお、この火災の経験から、「文化財を火災から守ろう」という運動がおこり、1955年から文化庁と消防庁が、1月26日を「文化財防火デー」に制定しました。今日は、全国の神社や寺院など各地で、文化財の消火訓練が行なわれます。
「1月26日にあった主なできごと」
1788年 囚人の移民…イギリスから、初めてオーストラリアに移民団がポートジャクソン湾(現シドニー)から上陸しました。このうち約半数は、犯罪を犯した囚人たちでした。これにちなんで、「オーストラリアの建国記念日」となりました。
1948年 帝銀事件…帝国銀行(現在の三井住友銀行)の東京豊島区にあった椎名町支店で、「近くの家で赤痢が発生したので予防薬を飲んでもらう」と偽って銀行員12名を毒殺、現金16万円などが強奪される事件がおこりました。8月になって画家平沢貞通が逮捕され、死刑が確定しましたが執行されないまま1987年に獄死。支援者はいまだに冤罪を叫び、再審請求を続けています。