今日7月31日は、1943年に発表されて以来世界じゅうの子どもやおとなに愛され続けている『星の王子さま』をはじめ、『夜間飛行』『人間の土地』などの飛行機の小説を書いた飛行家のサン・テグジュペリが、1944年に亡くなったと思われる日です。
アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリは、1900年にフランスのリヨンに生まれました。20歳の頃から、志願兵として飛行機に乗りはじめ、やがて民間航空界に入り、夜間飛行の先駆者となりました。同時に小説を書きはじめ、飛行士としての体験をもとにした作品を書き続けました。そして、第2次世界大戦中の今日、連合国軍の飛行士としてコルシカ島を飛びたったまま、消息をたってしまいました。
代表作である『星の王子さま』のあらすじは、次の通りです。
サハラ砂漠に不時着した飛行士には、1週間分の水しかありません。孤独で不安な夜を過ごした翌日、飛行士は、ふしぎな男の子に出あいます。その少年は、ふつうの家ほどしかない小惑星に住んでいる王子さまでした。飛行士は、王子と友だちになって、王子からさまざまな話を聞きます。
王子の星には、3つの火山と、たえず手入れをしないと星をこわしてしまいそうなバオバブの木と、4つのトゲのある1本のバラの花がありました。王子はバラの花を美しいと大切に世話していましたが、ある日バラの花と仲たがいをしたことをきっかけに、他の星の世界を見に行く旅に出たのだといいます。王子は地球にくるまでに、いくつかの星を訪れました。
命令することしか知らない王様の星、他人に賞賛されることしか耳に入らないうぬぼれ男のいる星、酒を飲むことが恥ずかしくてそれを忘れるために酒を飲む男のいる星、計算ばかりしているビジネスマンの星、1分間が1日で点燈夫が1分ごとにガス灯を点けたり消したりしている星、部屋にとじこもって本ばかり調べている地理学者の星、どこかへんてこりんな大人ばかりでした。そして、6番目の星で出あった地理学者のすすめで地球へおりてきたのだといいます。
地球の砂漠に降り立った王子は飛行士に出あうまでに1年近くもいて、大きな火山、数千本のバラの群生、ドクヘビ、キツネらにあいました。遊んでほしいと頼む王子に、キツネは仲良くならないと遊べないといいます。「仲良くなる」とは、あるものを他の同じようなものとは違う特別なものだと考えるからだと聞いた王子は、自分が美しいと思って世話をしたバラが愛おしくなりました。そして、自分に愛情の足りなかったことを悟った王子は、ある日砂漠から姿を消すのでした。
ほんとうのこととは? ほんとうの愛とは? うわべや作りごとでない純粋な心とは? 飛行士は、王子のさまざまな話から教訓を学ぶことで、不時着という危機を切りぬける勇気を獲得するのでした……。
「7月31日にあった主なできごと」
1875年 柳田国男誕生…『遠野物語』を著すなど日本民俗学の開拓者といわれる 柳田国男 が生まれました。