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『老人と海』 のヘミングウェイ

今日7月21日は、『日はまた昇る』『武器よさらば』『老人と海』などを著したアメリカの小説家ヘミングウェイが、1899年に生まれた日です。

アーネスト・ヘミングウェイは、シカゴ郊外のオークパークに生まれました。幼ないころから医者だった父から、釣りや狩猟の手ほどきを受け、山野をかけめぐりました。そんな子どもの頃の体験が、ヘミングウェイの生涯にわたる、釣りと狩猟、そして闘牛を徹底して楽しんだり、自由奔放な生き方を決定づけたようです。

1917年に高校を卒業すると、日雇い労働者などをへて地元紙の見習記者となりました。やがてはげしさを増した第1次世界大戦では、アメリカ赤十字社の野戦隊員としてイタリアに渡りましたが、1918年7月に砲弾をあびて重傷を負いました。やがて、この時の体験をもとにした小説『武器よさらば』をはじめ『日はまた昇る』『男だけの世界』などを書き、いちやくアメリカを代表する人気作家となりました。

その後も、スペイン内戦や、第2次大戦にも従軍記者として参加して活躍したり、アフリカへ狩猟に出かけるなど精力的に行動しながら『誰がために鐘は鳴る』『キリマンジャロの雪』などの小説を書きました。数多い作品のなかでも代表作といえば、1952年に発表した『老人と海』でしょう。

サンチャゴ老人は、メキシコ湾に小舟を浮かべ、魚をとってくらす漁師です。84日間も魚がとれない日がつづいたあと、ひとりメキシコ湾に遠出し、ついに自分の舟よりも巨大なカジキを釣り針にかけました。姿を見せないまま力強く舟を引き続ける大魚に、老人は知識と体力の限りを尽くして2日間も闘い続けました。海に出て3度目の太陽があがった朝、ついに老人は、巨大カジキに銛(もり)を打ちこみ、老人は勝利したのです。しかし、舟べりにしばりつけたカジキをサメが次々に食いちぎっていきます。カジキに愛情と尊敬さえいだいていた老人には、自分の身がえぐられているような気がするのでした……。

こうして、サメとの絶望的な闘いのなかで老人は、打ちのめされても敗れない人間の尊厳をみせるのです。巨大カジキとサメとの闘いを縦軸に、老人が手塩をかけて立派な漁師に育て上げた少年との涙あふれる友情を横軸に、ヘミングウェイは、老人の生き方を通して、生きることの意味、自分という存在は何なのかを確かめたかったに違いありません。こんな深い意味をもつ作品は、簡潔でとてもわかりやすく、小学上級から中学生でも理解できる内容です。3、4時間で読了できるので、ぜひ目を通されることをおすすめします。発表以来、作品への評価は高く、ピュリッツァー賞に続き1954年にはノーベル文学賞を受賞しました。
 
しかし1961年7月2日ヘミングウェイが、自宅で猟銃を口に当て自ら引き金を引いて命を絶つという衝撃的なニュースが、世界中を走りました。

投稿日:2009年07月21日(火) 09:23

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)