今日7月8日は、主に人間を動物におきかえた教訓話(寓話)で名高いフランスの文学者・詩人のラ・フォンテーヌが、1621年に生まれた日です。
「ライオンと蚊」 のお話
ある日、ライオンが小さな蚊に 「あっちへ行け、このちっぽけな虫けらめ!」 と、どなりつけました。蚊は、そんなことをいうならと、ライオンにおそいかかって、首から鼻の中まで刺してまわりました。すると、ライオンは、かゆくて、わが身をひっかきまわしたあげく、へたばってしまいました。蚊は大勝利をおさめて、ようようと引き上げていきました。ところが、このことを触れまわって帰るとちゅう、クモの巣にひっかかって、あっけなく最期をとげてしまいました。
[教訓] 1、一番小さいものが、一番おそろしいということ。 2、大きな危険からのがれても、ごくつまらないことのために、命を失うことがあること。
これは、240編もある 「ラ・フォンテーヌの寓話」 のひとつの話です。
よく知られている 「イソップ物語」 も寓話の一つで、ラ・フォンテーヌは昔から伝わっている寓話を、フランスの子どもたちのために美しい詩にして、再構成しました。
役人の子として生まれたラ・フォンテーヌは、さいしょは牧師になろうと、パリの神学校に学びましたが、やがて文学にめざめ、30歳をすぎたころから宮廷詩人たちとつきあううちに、大臣や貴族たちのおかかえ詩人になり、パリで華やかな生活をしながら文学の道を深めていきました。劇や小説もかきましたが、44歳から72歳で亡くなるまで発表したこの 「寓話詩」 が名高く、フランス人には、古典として老若男女に親しまれています。
なお、いずみ書房のホームページにあるオンラインブック 「レディバード100点セット」 には、ラ・フォンテーヌの寓話18篇を紹介した 44巻「ラ・フォンテーン寓話」 の日本語参考訳を収録しています。また、73巻「イソップ物語1」 74巻「イソップ物語2」 では、イソップの寓話を計24篇収録していますので、あわせて目を通すことをお勧めします。