今日8月29日は、詩人、劇作家、エッセイストとして活躍し、ノーベル文学賞を受賞したメーテルリンクが、1862年に生まれた日です。
「病気のむすめのために、青い鳥をさがしてきておくれ。青い鳥さえあれば、あの子はしあわせになれるのだからね」
クリスマスの前の晩、貧しい木こりの息子チルチルと妹のミチルは、魔法使いのおばあさんにたのまれ、犬やネコのほか、光の精や水の精などのふしぎなお供をつれて、夢の中の世界へ青い鳥をさがしにでかけます。
しかし、思い出の国へ行っても、幸福の国へ行っても、未来の国へ行っても青い鳥はみつかりません。やっと青い鳥をつかまえたと思うと、すぐ色がかわってしまいます。
やがて、朝になり、ふたりは目をさましました。するとどうでしょう、青い鳥は、木こり小屋の鳥かごの中にいるではありませんか。ほんとうの青い鳥(しあわせ)は、すぐそばの、自分たちの生活のなかにあったのです。
これは、モーリス・メーテルリンクという人が書いた『青い鳥』のあらすじです。はじめは「幸福とはなにか」を問いかけた、大人のための劇でしたが、メーテルリンク夫人が『子どものための青い鳥』に書きなおしてから、世界じゅうの子どもたちにもしたしまれるようになりました。
1862年、ベルギーに生まれたメーテルリンクは、美しい自然にかこまれた静かな別荘で、文学や詩を楽しむ、めぐまれた少年時代をすごしました。
父が法律家だったため、自分も大学で法律を学んで弁護士になりました。しかし、ほとんど仕事をしないうちに、文学への夢を追いもとめてパリへとびだしてしまいました。そして27歳のとき、詩集『温室』と戯曲『マレーヌ王女』を発表して、メーテルリンクはたちまち有名になりました。
「人間は、詩や運命をどのように見つめながら生きていけばよいのだろうか」
たくさんの作品を生みだしながら、メーテルリンクは考えつづけました。『青い鳥』のなかにも「どんな運命をせおっていても、幸福は自分でつかもう」という考えが描かれています。
昆虫や動物の命についてもすぐれた本を著わし、『貧者の宝』『英知と運命』などの論文には1911年、ノーベル文学賞がおくられました。
メーテルリンクは、86歳で世を去りました。
しかし『青い鳥』はいまも読みつがれ、自分自身の幸福をさがしもとめている世界の人びとに、1日1日を清らかな心で生きぬくたいせつさを、やさしく語りかけています。
なおこの文は、いずみ書房「せかい伝記図書館」(オンラインブックで「伝記」を公開中)14巻「エジソン・ゴッホ・シートン」の後半に収録されている7名の「小伝」から引用しました。近日中に、300余名の「小伝」を公開する予定です。ご期待ください。
コメント (1)
はじめまして。「青い鳥」で検索してこちらのblogを拝見しました。「幸せは実はすぐそばに」のコンセプトでワークショップを作っているのですが、メーテルリンクと自分の誕生日が同じと知ることができました。
最近買った中古自転車の鍵についていた番号も銀行口座番号も829が入っていて、魔法のよう!
素敵な情報をありがとうございました。
あちこち見ましたがこちらの記事が一番わかりやすく、私たちのblogにURLを載せて戴いてもよろしいでしょうか?よろしくご検討をお願いします。
(掲載していただかなくても大丈夫です!)
Posted by: 奈穂 | 2008年07月11日 17:56
日時: : 2008年07月11日 17:56