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「庶民の哀歓を描いた」 サローヤン

今日5月18日は、『君が人生の時』『ヒューマン・コメディ(人間喜劇)』など、底抜けに明るく生きる庶民の姿を自由奔放に描いたアメリカの小説家・劇作家のサローヤンが、1981年に亡くなった日です。

1908年、アルメニア系移民の子としてカリフォルニア州フレズノに生まれたウイリアム・サローヤンは、1歳半のとき父を亡くしたため、4人の兄姉とともにオークランドの孤児院に入りました。5年後に女工となった母に引き取られましたが、学業半ばの12歳のときから、電報配達・新聞売り子・農場労働者など、10種類以上の職につきながら作家を志し、1930年ころから雑誌や新聞に採用されるようになりました。そして、1934年「ストーリー誌」に掲載された短編『空中ブランコに乗った若者』によって、いちやく注目されるようになります。

それ以後、短・長編、戯曲、映画脚本など、庶民の哀歓をわかりやすい文体で自由奔放に綴り続け、『わが心は高原に』(1938年)がブロードウェイでヒットし、翌年の『君が人生の時』も大ヒットして演劇部門でピューリッツァー賞が決定(受賞辞退)しました。同時期に出版した小説『わが名はアラム』と『ヒューマン・コメディ(人間喜劇)』は、アルメニア系アメリカ人たちの底抜けに明るく生きる姿を活写したもので、『ヒューマン・コメディ』は1943年には映画化されてアカデミー最優秀脚本賞を受賞、日本では1947年、『町の人気者』のタイトルで公開されています。

その他、『どこかで笑ってる』『ロック・ワグラム』『世界の午後の一日』『サローヤン短編集』などが評判になったほか、1939年に作詞した『家へおいでよ(Come On-a My House)』(♪ 家へおいでよ 私のお家へ あなたにあげましょ キャンディ……) は、1952年に当時15歳の江利チエミが歌って大ヒットしています。


「5月18日にあった主なできごと」

945年 紀貫之死去…平安時代の中期に活躍した歌人で、『土佐日記』を著し、三十六歌仙の1人といわれた紀貫之が亡くなりました。

1265年 ダンテ誕生…イタリアの都市国家フィレンツェ生まれの詩人、哲学者、政治家であるダンテが誕生した日といわれています。代表作は彼岸の国の旅を描いた壮大な長編叙事詩『神曲』、および9歳の時にであった初恋の美少女ベアトリーチェをモデルにした詩文集『新生』など。イタリア文学最大の詩人、ルネサンスの先駆者とされています。

1869年 戊辰戦争終結…明治維新で江戸城無血開城後、旧幕府軍をひきいて箱館(函館)の五稜郭を拠点に、蝦夷(えぞ)共和国を樹立した榎本武揚らが降伏し、戊辰(ぼしん)戦争が終結しました。

1872年 ラッセル誕生…イギリスの哲学者・論理学者・数学者で、原水爆禁止や平和運動に力をつくしたラッセルが生まれました。
投稿日:2015年05月18日(月) 05:38

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)