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『サザエさん』 の長谷川町子

今日5月27日は、庶民生活の日常をコミカルに描いた『サザエさん』などの漫画で「国民栄誉賞」を授与された長谷川町子(はせがわ まちこ)が、1992年に亡くなった日です。

1920年、今の佐賀県多久市に三姉妹の次女として生まれた長谷川町子は、幼少期から旧福岡高等女学校2年まで福岡に育ち、炭鉱技師だった父の死去により、1934年に一家で上京しました。転入した山脇高等女学校在学中、「のらくろ」で有名な田河水泡に師事すると、1935年に少女倶楽部に掲載された『狸の面』で漫画家デビューをはたしました。1939年に『ヒィフゥみよチャン』が初連載され、翌1940年には『仲よし手帖』の連載が人気をよんで、女性漫画家としての地位を確立しました。

ところが、太平洋戦争が勃発し、戦局が日本に不利になると「ぜいたくは敵だ」といったスローガンのもとに娯楽どころではなくなり、大都市から地方への学童疎開が始まる1944年、長谷川家は福岡へ疎開し、町子は西日本新聞社に校閲係として勤務しました。

敗戦後の1946年、西日本新聞社から独立したフクニチ新聞社から創刊したばかりの「夕刊フクニチ」に漫画の連載を依頼された町子は、初めて『サザエさん』の連載を開始します。海岸付近を散歩しているときに、サザエさん一家のカツオやワカメなど海の生き物の名を思いついたと後に語っています。

1946年の年末に一家そろって再上京すると、姉の毬子を社長に「姉妹社」を設立し、その後1949年からは「朝日新聞」に、『サザエさん』の連載を再開。全国紙だけに人気は沸騰して、以後自身の都合で何度か中断期間をはさみながらも1974年まで25年間にわたり連載されました。庶民生活の日常をコミカルに描いた4コマの家庭漫画は、広い世代に愛され、「国民的漫画」といわれるようになり、姉妹社から出版された単行本は、全68巻となります。

1969年からは、『サザエさん』を原作にテレビアニメ化され、いまだに人気を誇っているのは驚異的です。また、『サザエさんうちあけ話』を原作とし、姉毬子を主役としてNHKの朝の連続ドラマ『マー姉ちゃん』が放送された他、『いじわるばあさん』『エプロンおばさん』もヒットしました。

1962年に文藝春秋漫画賞、1982年に紫綬褒章、亡くなった2か月後に「家族漫画を通じ戦後の日本社会に潤いと安らぎを与えた」として国民栄誉賞が授与されました。


「5月27日にあった主なできごと」

743年 墾田永年私財法…奈良時代中ごろ、聖武天皇は、墾田(自分で新しく開墾した耕地)の永年私財法を発布しました。それまでは、3代まで私有地を認める「三世一身の法」を実施していましたが、開墾がなかなか進まないため、永久に所有を認めるものでした。これにより、貴族や寺社、神社などが積極的に開墾をすすめ、「荘園」といわれる私有地が増えていきました。

1564年 カルバン死去…ルターと並び評されるキリスト教宗教改革・新教(プロテスタント)の指導者カルバンが亡くなりました。

1910年 コッホ死去…炭疽(たんそ)菌、結核菌、コレラ菌などを発見し、細菌培養法の基礎を確立したドイツの細菌学者コッホが亡くなりました。
投稿日:2015年05月27日(水) 05:55

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)