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「忘れられていた巨匠」 グレコ

今日4月7日は、『オルガス伯爵の埋葬』『聖母昇天』『トレド全景』などを描き、スペインで活躍した画家のグレコが、1614年に亡くなった日です。

1541年、現在のギリシャ・クレタ島に生まれたエル・グレコ(本名ドメニコス・テオトコプーロス)は、20歳のころイタリアのベネチアに渡り、ベネチア派の巨匠ティツィアーノやティントレットに学び、ローマではミケランジェロの影響をうけ、1577年にスペインへ移りました。グレコとは通称で、スペイン語の「ギリシャ人」にあたります。

宮廷画家を志して一時フェリペ2世に仕え、『聖母昇天』『盲人を癒すキリスト』『悔悛するマグダラのマリア』などの宗教画を残しましたが、フェリペはほとんど評価しませんでした。グレコの特徴である、深紅、紫、濃緑、黄など非現実的な色彩、細長く変形された人体を大胆に組み合わせた構図などが、理解されなかったためでしょう。いっぽう、宗教関係者や知的エリートからは多くの支持を得て、古都トレドに移住し、その後の生涯をこの地ですごしました。

やがて絵画の世界ではバロック絵画が主流となり、グレコの晩年から没後は、300年もの間グレコの存在そのものがほとんど忘れ去られてしまい、作品群は長期間、劣悪な環境下に置かれていました。それが、19世紀末から20世紀初頭にかけ、印象派の画家たちやピカソらによってグレコは再評価され、これがきっかけとなって、ベラスケスやゴヤと並び、スペインを代表する画家と高く評価されています。

特に、「トレドの秘密」といわれ、トレド・サント・トメ教会にあるグレコの最高傑作『オルガス伯爵の埋葬』は、ベラスケスの『宮廷の待女たち』、 レンブラントの『夜警』とともに、世界3大名画のひとつと讃えられています。


「4月7日にあった主なできごと」

1133年 法然誕生…平安時代末期から鎌倉時代初期の僧侶で「浄土宗」を開いた法然が生まれました。

1506年 ザビエル誕生…1549年、日本に初めてキリスト教を伝えたスペインのイエズス会宣教師ザビエルがフランスとスペインとの国ざかいのナバラ王国(1512年にスペインにほろぼされた)に生まれました。

1882年 小川未明誕生…『赤いろうそくと人魚』 『野ばら』 『月夜とめがね』 など1000編近い童話を著した小川未明が生まれました。

1894年 宮城道雄誕生…『春の海』など、琴を主楽器とする日本特有の楽曲(箏曲<そうきょく>)の作曲者、演奏家として世界に名を知られた宮城道雄が生まれました。

1945年 戦艦大和撃沈…大日本帝国海軍が建造した排水量6万8千トンという当時世界最大の戦艦「大和(やまと)」は、この日沖縄にむけて出撃途上、屋久島沖でアメリカ航空機部隊の集中攻撃を受けて3000人の将兵とともに、海底深く沈没しました。

1947年 フォード死去…流れ作業による自動車の大量生産を成功させ、世界一の自動車会社を創立したフォードが亡くなりました。
投稿日:2015年04月07日(火) 05:45

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)