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「大教皇」 グレゴリウス1世

今日3月12日は、ローマ司教の域を出なかったローマ教会の影響力を、西ヨーロッパ全域に広めたことで、「大教皇」「大聖」とあがめられているローマ教皇グレゴリウス1世が、604年に亡くなった日です。
 
540年ころ、ローマの富裕な貴族で元老院議員の子として生まれたグレゴリウスは、573年にローマ市の政治をになうウルビに指名され、市の財政・建物管理・食糧供給の任にあたり、政治家としてのキャリアを積んでローマ市最高司政官になりました。そして、父親の死をきっかけに莫大な財産を売り払って貧民を救済する資金に充てたばかりか、シチリア所領内に6つの修道院を建てたほか、ローマの自宅も修道院にして修道士になりました。

590年に教皇に選ばれてグレゴリウス1世となると、教区民へ毎日曜日に説教をし、市民への食糧供給を組織化したり、貧民には食糧や衣類を供給するなど精力的活動をすることにより、以後の教皇のお手本となる礎を作り上げました。

イングランドのアングロ・サクソン族への伝道活動も特筆すべき行動で、その動機はローマの奴隷市場で見た美しい少年奴隷に出会ったことからといわれています。596年に修道士40人をカンタベリーのアウグスティヌスに引率させて派遣し、ケント王を受洗させることに成功、この地を西方カトリック教会の拠点としました。また、北イタリアに侵入したゲルマン民族の一派ランゴバルド族とも伝道による改宗という平和的手段で和約させ、東ローマ(ビザンチン)帝国には、ローマ帝国の独自性を主張しました。こうして、ローマ司教の域を出なかったローマ教会の影響力を、西ヨーロッパ全域に広めました。

いっぽうグレゴリウス1世は著作に優れ、聖ベネディクトスの伝記をはじめ、実践的な知恵の書『道徳論』などを著し、アンブロシウス、ヒッポのアウグスティヌス、ヒエロニムスと並び「四大ラテン教会博士」のひとりに数えられています。

典礼音楽の発展にも尽力し、最近話題になっている「グレゴリオ聖歌」の名はグレゴリウス1世に由来しており、伝承では多くの聖歌を作曲したといわれています。


「3月12日にあった主なできごと」

1876年 日曜休日制…日本の官庁は、明治時代以降、毎月31日を除いて1と6のつく日を休日としていましたが、欧米にならって日曜を定休、土曜を半休とすることを決めました。

1925年 孫文死去…「三民主義」 を唱え、国民党を組織して中国革命を主導、「国父」 と呼ばれている孫文が亡くなりました。

1945年 アンネ・フランク死去…『アンネの日記』を書いたことで知られるアンネ・フランクが、ナチの収容所で亡くなりました。
投稿日:2015年03月12日(木) 05:41

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)