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『幼稚園唱歌』 の東くめ

今日3月5日は、『お正月』『鳩ぽっぽ』『雪やこんこ』など、口語による童謡を作詞した東くめ(ひがし くめ)が、1969年に亡くなった日です。

1877年、今の和歌山県新宮市に、元新宮藩家老の長女として生まれた東くめ(旧姓・由比)は、小学校卒業後に大阪に転居、設立間もない大阪ウィルミナ女学院で学ぶうち西洋音楽の道を志し、1890年に東京音楽学校(のちの東京芸術大)選科に入学しました。予科、専修部、研究科へと進み、1897年、研究科に在籍のまま旧東京府立第1高女(現・白鴎高)の音楽教諭になりました。

音楽教諭を務めるかたわら、同窓で2年後輩の作曲家滝廉太郎と組んで「お正月」(もういくつ寝ると お正月……)「鳩ぽっぽ」(鳩ぽっぽ 鳩ぽっぽ ポッポポッポと 飛んでこい……)「雪やこんこ」(雪やこんこ あられやこんこ……)などを作詞しました。1901年に、言文一致で書かれた日本で最初の唱歌集『幼稚園唱歌』が発行されましたが、収録された20曲のうち13曲は東くめの作詞となっています。この本は、東京女子高等師範学校助教授で附属幼稚園の教師を兼ねていた、1899年に結婚した夫の東基吉から「子どもの言葉による、子どもが喜ぶ童謡」を提案されて、誕生したものです。

8年間音楽教諭を務めた後、1917年に基吉が池田師範学校の校長に就任したのを機に池田へ移り、その後ピアノ教師を90歳まで続け、終生この地で過ごしています。

なお、滝廉太郎の研究家の小長久子は、生前のくめから、こんな話を聞いたそうです。「私の歌詞がひとつできて、それを滝さんに渡すと、彼はその歌を読み、まるで鼻歌を歌うように、いかにも楽しそうに、すぐその場で五線紙に書いたものです」(『歌を訪ねて』毎日新聞学芸部編より)


「3月5日にあった主なできごと」

1827年 ボルタ死去…生涯にわたって電気の研究を続け、「電気盆」や「ボルタ電池」を発明したイタリアの物理学者ボルタが亡くなりました。

1932年 団琢磨死去…三井・三池炭鉱を経営し、三井財閥の総帥となって、大正・昭和初期の日本実業界のトップに立った団琢磨が暗殺されました。

1953年 スターリン死去…ソ連の独裁者、共産党指導者、首相、大元帥となったスターリンが亡くなりました。
投稿日:2015年03月05日(木) 05:29

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)