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「明治憲法の助言者」 グナイスト

今日7月22日は、明治憲法制定の際、渡独した伊藤博文らに憲法学を講じ、弟子のモッセを明治政府の法律顧問として指導させたドイツの法学者・政治家のグナイストが、1895年に亡くなった日です。

1816年、ベルリンで生まれたルドルフ・グナイストは、1838年にベルリン大学を卒業後、同大学院で法学博士号を取得して地方裁判所裁判官になると、そのかたわらイタリア、フランス、イギリスへわたって憲政の実情を研究し、ベルリン大学員外講師を務めました。1847年にプロイセン上級裁判所調査官となり、1858年からはベルリン大学教授としてローマ法を講義しました。

1857年と1860年に刊行した『現代英国憲法および行政法』(2巻)はとくに名声を博し、1872年の『法治国家』とともに、グナイストの代表的著作といわれています。政治的には国民自由党の闘士として1868年から帝国議会議員となって憲法制定問題で活躍し、1875〜77年には最高裁判所裁判官を務めています。

1882年、伊藤博文や伊東巳代治らが憲法調査のため渡欧した際には、6か月にもわたって伊藤らに憲法の講義を行い、憲法政治の利害を教授しました。1885年に訪独した伏見宮親王にも同様の講義を行い、その内容は『西哲夢物語』のなかの「グナイスト氏談話」として伝えられ、グナイストの伊藤らへの助言の内容を知る有力な参考資料となっています。

伊藤が大日本帝国憲法制定の際にとった、君主権を強化する欽定主義、行政権の強化、起草の秘密主義などは、まさに、グナイストの教えによるものであり、1886年に来日して4年間も明治政府の法律顧問となった教え子のモッセを通じて、間接的に憲法起草に大きな影響を与えました。


「7月22日にあった主なできごと」

1363年 世阿弥誕生…室町時代に現在も演じられる多くの能をつくり、『風姿花伝』(花伝書) を著して能楽を大成した世阿弥が生まれました。

1822年 メンデル誕生…オーストリアの司祭で、植物学研究を行い、メンデルの法則と呼ばれる遺伝に関する法則を発見したメンデルが生まれました。

1888年 ワクスマン誕生…結核菌を死滅させるストレプトマイシンなど、20を超える抗生物質を発見したウクライナ出身のアメリカ生化学者ワクスマンが生まれました。
投稿日:2015年07月22日(水) 05:43

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)