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「海の恋人」 クストー

今日6月25日は、水中の呼吸装置スクーバ(アクアラング)の発明者の一人として知られ、カンヌ映画祭最高賞を受章した『沈黙の世界』など、海のドキュメンタリー記録映画を数多く製作したフランスの海洋探検家で海洋学者のクストーが、1997年に亡くなった日です。

1910年、フランス南西部ボルドー近郊のサンタンドレに生まれたジャック・クストーは、1930年にブレストの海軍兵学校を卒業後にフランス海軍に入り、海軍士官として潜水技術の研究・開発に従事しました。1943年、エミリー・ガ二ヤンと共同で世界初の潜水用水中呼吸装置(商品名・アクアラング)を発明しました。これは圧縮空気を利用した簡便な水中作業用具で、海洋開発やレジャーに新生面を開きました。

1948年には、ピカールによって発明された、推進力をもち深海を自由に動き回ることが可能な潜水装置「バチスカーフ」の試験をピカールとともに行いました。1951年から翌年にかけては調査船カリプソ号で紅海の海洋調査にあたり、海やそこに住む生物の研究を行ういっぽう、それを書籍、記録映画にして一般への啓蒙活動を行いました。他の海にも海洋調査を拡げ、1956年にはルイ・マルとの共同監督によるドキュメンタリー記録映画『沈黙の世界』が、カンヌ国際映画祭で最高の栄誉となるパルムドールを受賞したほか、アカデミー賞最優秀記録映画賞を受章しました。翌年にも『太陽の届かぬ世界』でアカデミー賞を受章しています。

1957年に海軍を退役し、モナコ海洋博物館所長、フランス海洋開発センター所長を歴任しながら、海の国連と呼ばれる世界水中連盟(CMAS)を創設したり、テレビに進出し、海洋やアマゾン川の探検、海中居住実験などを行った記録を連続科学番組に提供しました。わが国でも、1970年代から1980年代にかけて、テレビドキュメンタリー番組『驚異の世界・ノンフィクションアワー』や『クストーの海底世界』シリーズで広く知られるようになりました。

1992年には、地球サミットで環境破壊・海洋汚染を警告し、母国フランスの核実験再開を激しく批判したことでも知られ、トレードマークの赤いニット帽とともに、「海の恋人」といわれていました。主著に『沈黙の世界』や『大いなる海の覇者』があります。


「6月25日にあった主なできごと」

845年 菅原道真誕生…幼少の頃から学問の誉れが高く、学者から右大臣にまでのぼりつめたものの、政敵に陥れられて九州の大宰府へ左遷されましたが、「学問の神」として信仰されるようになった菅原道真が生まれました。

1734年 上田秋成誕生…わが国怪奇文学の最高傑作といわれる『雨月物語』を著した江戸時代後期の小説家・国学者・歌人の上田秋成が生まれました。

1956年 宮城道雄死去…琴を主楽器とする日本特有の楽曲「箏曲(そうきょく)」の作曲者、演奏家として世界に名を知られた宮城道雄が亡くなりました。
投稿日:2015年06月25日(木) 05:51

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)