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最新記事【2015年05月19日】

今日5月19日は、オスマントルコ帝国に対するアラブ反乱を支援したことで知られる、イギリス軍人・考古学者のロレンスが、1935年に亡くなった日です。

1888年、北ウェールズのトレマドクに生まれたトマス・エドワード・ロレンスは、オックスフォード大学で考古学を学ぶうち中近東に関心を持ち、在学中の1909年にレバノンを訪れて1600キロもの距離を徒歩で移動しながら、十字軍の遺跡調査をしました。卒業後の1911年、恩師デイビッド博士による大英博物館の調査隊に参加し、現在のトルコ・シリア国境付近のカルケミシュで、考古学の仕事に従事しました。

第一次世界大戦が勃発すると、ロレンスはイギリス陸軍情報部将校としてエジプトのカイロへ配属されました。この大戦でイギリスは、オスマントルコがドイツ側に参戦したため、アラブ人の間にオスマントルコへの反感が高まっているのを利用して、大戦に勝利後はアラブを独立させる約束をしました。

1916年、メッカにいたフサイン・ファイサル父子がオスマントルコに対し反乱をおこすと、ロレンスはアラブ人に変装し、トルコに対するアラブ側の軍事行動を助けました。鉄道線路の爆破、アカバ(今のヨルダン唯一の港湾)の奇襲占領など、ロレンスの指導によるゲリラ戦は大きな成果を上げました。ところが、イギリス・フランスなど連合軍政府は、裏で大戦後はアラブを分割する約束(サイクス・ピコ協約)をしていたため、大戦に勝利したものの、アラブの独立は認められませんでした。(この協約により、人工的に引いた国境線が、シリア・イラクで分断されたスンニ派が抑圧され、ゲリラ組織「イスラム国」を生んだとする研究者が多くいます)

イギリスのアラブ人に対する裏切り行為に失望したロレンスでしたが、なんとか粘って2年後にファイサルがイラン国王となったのを確認すると、政府のアラブ問題顧問を辞任しました。その活躍ぶりから、「アラビアのロレンス」といわれましたが、ショーの偽名で空軍に入ったりするものの、裏切られた悔しさは、生涯消えることはありませんでした。そして除隊から2か月後、オートバイ事故で亡くなりました。

なおその半生は、1962年にデビット・リーン監督、ピーター・オトゥール主演『アラビアのロレンス』として映画化され、アカデミー作品賞を受賞するなど、世界的にヒットしたことはよく知られています。


「5月19日にあった主なできごと」

1645年 宮本武蔵死去…江戸時代初期の剣豪で、書画でも優れた作品を残した宮本武蔵が亡くなりました。

1725年 新井白石死去…徳川幕府6代将軍家宣(いえのぶ)に仕え、優れた文治政治を行なった儒学者の新井白石が亡くなりました。
投稿日:2015年05月19日(火) 05:52

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)