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最新記事【2015年12月01日】

今日12月1日は、長編小説『平将門』『天と地と』、史伝『武将列伝』長編史伝『西郷隆盛』など、たくさんの歴史小説を著した作家の海音寺潮五郎(かいおんじ ちょうごろう)が、1977年に亡くなった日です。

1901年、今の鹿児島県伊佐市に生まれた海音寺潮五郎(本名・末富東作)は、国学院大学高等師範部国漢科を卒業後、指宿中学や京都府立二中の教師を務めながら小説を書き続け、1929年に『うたかた草紙』、1932年に『風雲』が、『サンデー毎日』懸賞小説に、2度にわたって入選しました。

1934年、教職を退いて鎌倉に居を構えて文筆に専念すると、1936年に茶人千利休と娘のお吟の生涯をえがいた『天正女合戦』他で直木賞を受賞しました。太平洋戦争中は、 陸軍報道班員として徴用されて約1年間マライへ行くものの、体調をこわして帰国後入退院をくりかえし、戦争末期には鹿児島に疎開しました。敗戦後、執筆を開始するもののGHQの検閲により発表できず、1952年になって『蒙古来る』が「読売新聞」に連載を開始することができ、1954年に単行本化されました。

海音寺の名がいちやく、一般の人たちにも有名になったのは、上杉謙信をえがいた長編小説『天と地と』(1960〜62年刊)を原作に、NHKの大河ドラマで初カラー作品として、1969年に1年間放送されてからでしょう。川中島の戦いでの謙信と信玄の対決は、名場面として評判となったばかりか、1年を通じて高視聴率を続けました。1976年にも、『平将門』(1955年刊)と、藤原純友を描いた『海と風と虹と』(1955年刊)を原作とした『風と雲と虹と』がNHK大河ドラマになりました。平安時代中期を舞台に、ほぼ同時期に朝廷に対する反乱を起こした平将門・藤原純友は、余り知られていない人物にもかかわらず、この作品も高視聴率を記録しました。

海音寺の代表作は、上記以外に、連作小説『二本(ふたもと)の銀杏(ぎんなん)』(1959〜61年刊)、『火の山』(1961〜62年刊)、『風に鳴る樹』(1963〜64年刊)などの歴史小説や、史伝(フィクションの要素を完全に排除し広範かつ詳細な文献調査した独自の文学)『武将列伝』に33名収録(1959〜60年刊)、『悪人列伝』に24名収録(1961〜62年刊)、ライフワークで絶筆・未完作の長編史伝『西郷隆盛』(1976〜78年刊)などで、乱世の英雄をえがいた作品には右にでるものがないといわれ、その男性像は意地と節操を貫く悲壮美と力感にあふれていると高く評価されています。1973年に文化功労者に選ばれ、1977年、芸術院賞が贈られました。


「12月1日にあった主なできごと」

1789年 ギロチンの採用…フランス革命のころ、死刑執行のために使われた首切り器械のギロチンは、医師のギヨタンが提案してこの日の国民議会で採用されました。ルイ16世やその妃マリー・アントアネットをはじめ何万人もの人が首を切られましたが、ギヨタンもまたギロチンで処刑されました。

1997年 京都議定書…「地球温暖化防止会議」が、この日から10日間京都で行なわれ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスをだす量を、先進国が国別に目標値を定めて減らしていくことを決めました。この取り決めは「京都議定書」と呼ばれています。
投稿日:2015年12月01日(火) 05:04

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)