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最新記事【2014年12月26日】

今日12月26日は、『古寺巡礼』『風土』『倫理学』など多数の書を著した哲学者の和辻哲郎(わつじ てつろう)が、1960年に亡くなった日です。

1889年、今の兵庫県姫路市に医師の子に生まれた和辻哲郎は、旧制姫路中学時代から文学や芸術に関心をいだきはじめ、第一高校を経て東京帝国大学哲学科に入学後は、谷崎潤一郎らと耽美的な小説や戯曲をさかんに書きました。同大学院に進学すると本格的に哲学に取り組み、師のケーベルの指導を受け、特にニーチェとキェルケゴールの実存主義を研究しました。

その後、東洋大、法政大で教鞭をとりながら、阿部次郎、安倍能成、夏目漱石らと深く交わり、仏教、キリスト教、古代日本の研究など幅広い研究に挑み、1919年に『古寺巡礼』を刊行。この著書は、奈良の古寺にある仏像の美しさを広く世間に知らせて大きな反響を呼び、今も続く「古寺めぐり」ブームの先駆けとなっています。

1925年から京都帝国大助教授となり、2年間のドイツ留学から帰国後に同大教授、1934年からは東京帝大教授となってその講義をまとめた『風土』を1935年に発表しました。これは、東・南・西アジアやヨーロッパ各地域の風土的特性や伝統的文化の関係を考察した研究書で、宗教では、南アジアは熱暑と湿潤によって大地の恵みを受ける、母性的で汎神論的宗教であるヒンズー教や仏教が栄え、西アジアの砂漠では暑熱と乾燥によって、支配する自然の上に立つ絶対的一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教が興ったなど、独自の文化史理論を展開しました。これは世界的な視野で文化を論じた書として、今も高く評価されています。

やがて「倫理学」の確立にむかい、「人間とは間がらである」という考え方に立ち、「人間学=和辻倫理学」と呼ばれる独自の体系を、1949年『倫理学』(3巻)という大著に完成させました。1950年には日本倫理学会を創設して、亡くなるまで会長を務め、1955年には文化勲章を受賞しています。

なお、オンライン図書館「青空文庫」では、『古寺巡礼』など和辻の著作48編を読むことができます。


「12月26日にあった主なできごと」

1542年 徳川家康誕生…応仁の乱以降100年以上も続いた戦乱に終止符を打ち、織田信長、豊臣秀吉により統一された天下を、さらに磐石なものとする江戸幕府を開いた徳川家康が生まれました。

1758年 松平定信誕生…江戸時代中期、田沼意次一族の放漫財政を批判して「寛政の改革」を行った松平定信が生まれました。

1888年 菊池寛誕生…『屋上の狂人』『父帰る』『恩讐の彼方に』などを著した作家で、文芸春秋社を創業し、芥川賞・直木賞をを創設した菊池寛が誕生しました。

1890年 シュリーマン死去…ホメロスが紀元前800年ころに書いたといわれる『イリアス』『オデュッセイア』に出てくる伝説の都市トロヤが、実在することを発掘によって証明したドイツの考古学者で実業家のシュリーマンが亡くなりました。
投稿日:2014年12月26日(金) 05:55

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)