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最新記事【2015年02月10日】

今日2月10日は、『実験医学序説』を著し、グリコーゲンの発見をはじめ、肝臓・膵臓・交感神経などの働きを解明したフランスの生理学者ベルナールが、1878年に亡くなった日です。

1813年、フランス東部ローヌ地方のサン・ジュリアン村に、ぶどう作り農家の子として生まれたクロード・ベルナールは、村のイエズス会の学校で初等教育を受けたのち、リヨンに出て薬局で働きました。その余暇に戯曲に親しむうち劇作家を志し、5幕ものの戯曲を書いてバリに出ました。しかし、知り合った評論家から作家より医学の道をめざすよういわれると、べルナールはこの助言に従ってパリ大学医学部に入学。苦学しながら同大学を卒業後、28歳のときコレージュ・ド・フランスの生理学教授マジャンディと知り合って助手となり、2年後の1843年に胃液の生理作用の研究で学位をとりました。

やがてベルナールは、マジャンディの精神を受けつぎながら、実験を注意深く計画し、空想や哲学から独立した「実験生理学」を完成させ、生理学的実験の権威となりました。1854年にはソルボンヌ大学生理学初代教授、翌1855年には、恩師の死去の後を継いでコレージュ・ド・フランスの医学教授に就任し、1868年にはアカデミー・フランセーズ会員に推挙されています。

ベルナールの数々の画期的な業績のひとつは、哺乳類の肝臓の内部に「グリコーゲン」というでんぷん状の物質があることの発見でしょう。これが、炭水化物の保存のために血液中のブドウ糖で作られ、必要に応じて再び糖となることを見つけました。その他、脂肪の消化におけるすい液の働きをふくむ膵臓機能、交感神経の脈管運動などを明快に記した主著『実験医学序説』は、不朽の名著といわれ、今も重要な指導書とされています。

さらに、晩年に著した『動植物に共通の生命現象』は、動物も植物も同じような同化作用があることなど、一般生理学の立場を明らかにした書として、医学界ばかりでなく、文芸や思想界にも多くの影響を与えました。このような考え方は、アメリカの生理学者ウォルター・キャノンらに引きつがれています。


「2月10日にあった主なできごと」

1657年 新井白石誕生…江戸時代中期に活躍した旗本・政治家であり、歴史、文学、言語学、政治、地理、兵法、考古学、民俗学などにも通じる博学の学者となる新井白石が生まれました。

1763年 イギリスがカナダを獲得…イギリスとフランスとの間で争われた植民地7年戦争が終わり、パリ条約が結ばれて、フランスはカナダをはじめ、ミシシッピー川以東のルイジアナをイギリスに譲渡し、北アメリカの領土を失いました。英国はすでにインドのフランス植民地も得て、いわゆる「太陽の没しない大帝国」を築き上げました。

1851年 水野忠邦死去…江戸時代末期に「天保の改革」を指導した水野忠邦が亡くなりました。

1904年 日露戦争勃発…中国東北部の満州と朝鮮半島の支配権をめぐって紛糾した両国でしたが、日本政府はこの日、大国ロシアに対し宣戦布告をしました。
投稿日:2015年02月10日(火) 05:45

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プロフィール

酒井 義夫(さかい よしお)
酒井 義夫(さかい よしお)

略歴
1942年 東京・足立区生まれ
1961年 東京都立白鴎高校卒
1966年 上智大学文学部新聞学科卒
1966年 社会思想社入社
1973年 独立、編集プロダクション設立
1974年 いずみ書房創業、取締役編集長
1988年 いずみ書房代表取締役社長
2013年 いずみ書房取締役会長
現在に至る

昭和41年、大学を卒業してから50年近くの年月が経った。卒業後すぐに 「社会思想社」という出版社へ入り、昭和48年に独立、翌49年に「いずみ書房」を興して40年目に入ったから、出版界に足を踏み入れて早くも半世紀になったことになる。何を好んで、こんなにも長くこの業界にい続けるのかと考えてみると、それだけ出版界が自分にとって魅力のある業界であることと、なにか魔力が出版界に存在するような気がしてならない。
それから、自分でいうのもなんだが、何もないところから独立、スタートして、生き馬の目をぬくといわれるほどの厳しい世界にあって、40年以上も生きつづけることができたこと、ここが一番スゴイことだと思う。
とにかくその30余年間には、山あり谷あり、やめようかと思ったことも2度や3度ではない。なんとかくぐりぬけてきただけでなく、ユニークな出版社群の一角を担っていると自負している。
このあたりのことを、折にふれて書きつづるのも意味のあることかもしれない。ブログというのは、少しずつ、気が向いた時に、好きなだけ書けばいいので、これは自分に合っているかなとも思う。できるかぎり、続けたいと考えている。「継続は力なり」という格言があるが、これはホントだと思う。すこしばかりヘタでも、続けていると注目されることもあるし、その蓄積は迫力さえ生み出す。(2013.8記)